FXの証拠金

FXの正式名称が「外国為替証拠金取引」という以上、FX取引をするにあたって証拠金の概念に習熟することはとても重要です。

しかし、MT4で普通に取引しているだけでは、証拠金の種類や計算方法まで理解するのはなかなか難しいです。

例えば、下のキャプチャ画像を見てください。

ここには「証拠金」と名がつくだけでも、次の4つの項目が登場します。

  • 有効証拠金
  • 必要証拠金
  • 余剰証拠金
  • 証拠金維持率

これらの中で、とりわけ重要なのは「証拠金維持率」であり、この数値に基づいてブローカーがトレーダーの意思にかかわらず、ポジションを強制決済したりすることがあります。

「取引ルールを知る」ということは、すなわち「証拠金について知る」といいかえても差し支えありません。

証拠金の種類・算出方法

MT4で表示される証拠金には、4種類あることがわかりました。

以下では、具体的な意味や算出方法について解説します。

有効証拠金

有効証拠金とは、実質的な口座残高です。

言い換えれば「今すべてのポジションを決済したら、資産はいくらになるのか」ということを表す数値です。

例えば、口座残高が10万円だったとしても、実際にポジションを持っており含み益(含み損)やスワップポイントなどを合算した金額が+1万円であるならば、11万円が有効証拠金額となります。

有効証拠金は、次の計算式で求められます。

有効証拠金=(残高)+(評価損益:スワップポイント、手数料も含む)

必要証拠金

必要証拠金とは、ポジションを新規に建てるのに必要な証拠金額です。

FX取引では通常レバレッジを利用しますから、ブローカーの設定する最大レバレッジに応じて必要証拠金額は変動します。

例えば、USDJPYが1USD=100.00JPYであって、ブローカーの最大レバレッジが1,000倍である場合には、10万通貨(1,000万円相当)を保有するには、1万円が必要証拠金です。

必要証拠金は、次の計算式で求められます。

必要証拠金=(ポジションの対日本円評価額)÷(最大レバレッジ)

※口座通貨が日本円以外の場合には、その通貨での評価額となります。

余剰証拠金

余剰証拠金とは、その名のとおり「余り」です。

例えば、有効証拠金額が11万円で1万円の必要証拠金となる取引をしている場合には、10万円が余剰証拠金となります。

余剰証拠金は、次の計算式で求められます。

余剰証拠金=(有効証拠金)-(必要証拠金)

余剰証拠金の特徴は、その証拠金を利用して新規にポジションを建てられることです。

例えば、10万円が余剰証拠金であって、1Lot=10万通貨を保有するための必要証拠金額が1万円である場合には、あと10Lot=100万通貨の新規ポジションを建てることができます。

また、その際にポジションを手仕舞う必要はありません。

含み益を利用して新規にポジションを建てる「ピラミッティング」という手法は、まさにこの余剰証拠金を利用するものです。

証拠金維持率

証拠金維持率は、マージンコールやロスカットの判定に使用されます。

マージンコール及びロスカットの意味は、以下のとおりです。

マージンコール:証拠金維持率がブローカーの設定する水準を下回ったことにより、追加の証拠金(追証)の入金を求められる状態。もし指定日時までに追証を入金しなかった場合には、すべてのポジションが強制決済される。

ロスカット:ブローカーによっては「ストップアウト」と呼ばれることも。証拠金維持率がブローカーの設定する水準(通常、マージンコールの水準よりさらに低い)を下回った場合に、その瞬間おいてすべてのポジションを強制決済するというもの。

証拠金維持率は、このように実際の取引に大きな影響を与えますので常にモニターしておかなくてはなりません。

証拠金維持率の計算式は、以下のとおりです。

証拠金維持率=(有効証拠金)÷(必要証拠金)

先に、有効証拠金は口座残高と評価損益によって決まるということを見ました。

また、必要証拠金はポジションサイズと最大レバレッジによって決まるということも見ました。

つまり、証拠金維持率は十分な口座残高のもと、評価益が大きくなり、その割にはポジションサイズが小さく、最大レバレッジの設定が高い場合には、高い数値となります。

反対に、証拠金維持率はギリギリな口座残高のもと、評価損が大きくなり、その割にはポジションサイズが大きく、最大レバレッジの設定が低い場合には、低い数値となります。

つまり、ハイレバレッジブローカーで、最大ポジションを取った場合には、少しの逆行でマージンコールやロスカットになるということです。

証拠金と「実効レバレッジ」「最大許容含み損」「最大逆行値幅」

「実効レバレッジ」はブローカーの設定する「最大レバレッジ」のことではなく、トレーダーの取引状態によって変動するものです。

実効レバレッジは、次の計算式で求められます。

実効レバレッジ=(ポジションの対日本円評価額)÷(有効証拠金)

つまり、より大きなポジションをより少ない有効証拠金で支えている場合に、実効レバレッジは高くなります。

反対に、より小さなポジションをより大きな有効証拠金で支えている場合は、実効レバレッジは低くなります。

ここでは、有効証拠金がどれくらいであれば、実効レバレッジは何倍になるのかということを可視化するために、グラフと表を作成しました。

なお、その他のパラメーターは以下で固定しています。

USDJPY

1USD=100JPY

ロスカットレベル

20%

1pips損益

¥1,000

証拠金

¥100,000

保有数量

$100,000 

有効証拠金額

実効レバレッジ

最大許容含み損

最大逆行値幅

¥10,000

1000

¥-8,000

-8pipis

¥20,000

500

¥-18,000

-18pipis

¥30,000

333

¥-28,000

-28pipis

¥40,000

250

¥-38,000

-38pipis

¥50,000

200

¥-48,000

-48pipis

¥60,000

167

¥-58,000

-58pipis

¥70,000

143

¥-68,000

-68pipis

¥80,000

125

¥-78,000

-78pipis

¥90,000

111

¥-88,000

-88pipis

¥100,000

100

¥-98,000

-98pipis

一覧してわかるように、証拠金が多い(証拠金が「厚い」ともいいます)と、ロスカット執行までの最大許容含み損と、最大逆行値幅が増えています。

これには、プラスとマイナスの2つの側面があると考えています。

プラスの側面は、多少逆行しても強制決済されないので、ゆとりをもってトレードできるということです。

マイナスの側面は、損切りを自分で行わないとロスカットが執行されたときには、大きな資金を失うことになる、ということです。

証拠金はいくらくらい入金するのがいいのか

一般論として言うのは難しいですが、海外のハイレバレッジを前提にするのであれば、実効レバレッジは200倍を下回っている状態なら結構安心です。

そのため、ブローカーの設定する最大レバレッジとロスカットレベルにもよりますが、おおむね、ポジション数量(単位;万通貨)の半分くらいの金額(単位:万円)を入れておくとちょうどよいのではないでしょうか。 例)10万通貨で取引したいならば、5万円。100万通貨ならば、50万円を用意。

また、参考までに「口座残高」と「最大許容含み損」のグラフ及び「口座残高」と「最大逆行値幅」との関係を示したグラフも掲載します。

証拠金の自動計算方法

証拠金を自動で計算する方法には2種類あります。

1つは「証拠金計算サイト」に数値を打ち込んで算出する方法です。

2つは「取引ツール」を利用してリアルタイムで算出し続ける方法です。

証拠金計算サイト

ブローカーによって微妙に設定が異なるため、理想はそのブローカーが公式ウェブサイトで提供しているものを利用する方法です。

例えば、XMは以下のような計算ツールを提供しています。

参照:https://www.xmtrading.com/jp/forex-calculators/all-in-one#forex-calculator

もし、ブローカーがXMのように計算ツールを提供していない場合には、自分でブローカーの設定を入力して必要項目を出力してくれるサイトを利用します。

参照:http://fxtrading.greeds.co.jp/margincalc/

取引ツールを利用した証拠金計算

MT4やMT5、またはcTraderといった取引ツールには証拠金を計算する機能がデフォルトで搭載されています。

MT4の証拠金表示

MT5の証拠金表示

cTraderの証拠金表示

※エクイティ:有効証拠金、無料マージン:余剰証拠金、マージンレベル:証拠金維持率

また、”SpeedMT4”という裁量取引ツールを利用すれば、拡張機能で様々なパラメーターを表示できます。

参照:https://com.nicovideo.jp/community/co2608787

総括

証拠金は極めて重要な項目なだけに、無料の計算支援ツールが充実しています。

証拠金についての知識を深めることは、相場の分析方法やトレード手法を磨くことと同じくらい重要ですから、学習と実践と通じて理解を深めてください。