FXのスプレッド

スプレッド(Spread)の定義は、次のとおりです。

ある通貨ペアにおけるBid(売値)とAsk(買値)の差

※通常は、pips表記されます。

例えば、下の例を見てみましょう。

※TitanFX(ブレード口座)より

上記はUSDJPYの為替レートです。

キャプチャ画像では、BidとAsk、及びスプレッドは次のようになっています。

項目名

MT4での表記

スプレッド

Bid(売値)

SELL:108.973

108.975-108.973=0.002

(0.2pips)

Ask(買値)

BUY:108.975

トレーダーは、新規にポジションをもって決済する際に、BidとAskの差額の影響を受けます。

なぜなら、ロングポジション、ショートポジションの双方ともBidとAskの両方を利用するからです。

ロングポジションの場合・新規注文時:Ask価格で約定
・決済注文時:Bid価格で約定
ショートポジションの場合・新規注文時:Bid価格で約定
・決済注文時:Ask価格で約定

したがって、スプレッドは取引コストの中心をなします。

利益を最大化することを目指すトレーダーにとって、スプレッドが非常に重要になることは言うまでもありません。

スプレッド総論:スプレッドと取引コスト

スプレッド以外にも、取引コストとなりうるものがあります。

それは、取引手数料とスワップポイントです。

それぞれの概要は、以下のとおりです。

取引手数料 スプレッドとは別に徴収される金額で、取引通貨ペアや取引数量(Lot数)に応じて金額が決定します。
ブローカーによっては、「片道」の手数料を記載しているところもありますが、トレーダーにとっては新規注文と決済注文の「往復」の手数料を加味しなくてはなりません。
スワップポイント 主に毎日のロールオーバー時(日足の切り替えタイミング)で付与され、または徴収される金額です。
一般的に高金利通貨のロングポジションは、スワップポイントが付与され、反対に低金利通貨のロングポジションはスワップポイントが徴収されます。

取引手数料は、ブローカーや口座タイプによっては無料であることも多いです。

一方でスワップポイントは、どのブローカーも例外なくあります。

※ムスリム専用のスワップフリー口座は除きます。

スプレッド、取引手数料、スワップポイントはいずれも取引コストであるため、安いに越したことはないのですが、トレーダーの選好によって重要性の順位は異なります。

スプレッドと取引スタイル

取引スタイルは、次の3種類がメインです。

重視すべき要素は、それぞれ以下のとおりです。

名称 取引スパン 重視すべき要素
スキャルピングトレード 数分 スプレッド、取引手数料
デイトレード 数時間 スプレッド、取引手数料
スイングトレード 数日 スプレッド、取引手数料、スワップポイント

日をまたがないスキャルピングトレードとデイトレードではスワップポイントは度外視して、スプレッドと取引手数料を総合した「実質的なスプレッド」が狭いブローカーを選ぶと、利益率が向上します。

一方で、スイングトレードといった長期的なトレードをする場合には、取引回数は減り、狙う値幅も大きくなります。

したがって、相対的にスプレッド、取引手数料の重要性は逓減します。

そして、取引スパンが長ければ長いほどスワップポイントが利益に与える影響が大きくなります。

※プラススワップポイントの大きさもそうですが、マイナススワップポイントの小ささも重要になります。

スプレッドとボラティリティ(変動率)

見た目上は同じスプレッドであっても、その通貨ペアのボラティリティ(変動率)が異なると、その意味は全く異なってきます。

例えば、USDJPYとGBPJPYを比較してみましょう。

  スプレッド ボラティリティ
USDJPY ブローカーによっては1.0pipを切る 1日数十pipsのことが多い
GBPJPY 全般的に広く、3.0pipsを超えることも 1日で100pips以上動くことも

USDJPYとGBPJPYはスプレッドもボラティリティも段違いです。

しかし、GBPJPYでの取引がUSDJPYでの取引よりも不利かという、一概にはそうとは言えません。

場合によっては、一瞬で数pips動くGBPJPYのほうがスプレッド分をプラス転換させるのにかかる時間が短く済むこともあります。

また、USDJPYは一方向に動くことがすくないレンジ通貨であることが多く、一方でGBPJPYは一方向に動き続けることのあるトレンド通貨である時間が長いです。

一般にレンジ通貨は、売り買いの頻度がトレンド通貨よりも多くなりますから、スプレッドの影響をより大きく受けます。

反対にトレンド通貨は、長いトレンドに乗ることができれば取引頻度が減らしても利益を確保できますから、スプレッドの影響は小さくできます。

このように、スプレッドは単に見た目上の数値だけではなく、ボラティリティも考慮する必要があります。

スプレッドと強制ロスカット

スプレッドは強制ロスカット(ロスカットレベル:証拠金維持率)との関係でも考える必要があります。

なぜならば、スプレッドは一定ではなく、時間帯や経済指標発表のタイミングによって突然拡大することもあるからです。

例えば、「あと5pips下がったら強制ロスカットである」という場合に、スプレッドが拡大してBidが5pips下がってしまったらその時点で取引は失敗します。

具体的にどのレートで強制ロスカットになるのかは、ブローカーによるロスカットレベルと最大レバレッジの設定の影響を強く受けます。

スプレッド比較の際には、強制ロスカットとの関連についても考慮する必要があるということです。

スプレッド各論:スプレッドの違い

スプレッドは全て一定ではありません。

スプレッドは「通貨ペア」「時間帯」「経済ニュース」などによっても変動します。

※ブローカーによるスプレッドの違いについては、次の項目で解説します。

通貨ペアとスプレッド

通貨ペア1つ1つを見ると、スプレッドが異なっていることがわかります。

主要通貨のスプレッドをみると、次のようになっています。

USDJPY:0.2pipsEURUSD:0.2pipsEURJPY:0.4pips
GBPUSD:0.7pipsGBPJPY:1.2pipsAUDJPY:0.6pips

※TitanFX(ブレード口座)より

一般にメジャーな通貨ペアであるほどスプレッドは狭いのですが、より具体的に通貨ペアを分類すると、以下のようになります。

分類名 具体例 スプレッド
メジャー通貨ペア USDJPY、EURUSD 平常時:最も狭い
流動性低下時;あまり拡大しない
マイナー通貨ペア (クロス円ペア) GBPJPY、AUDJPY 平常時:やや広い
流動性低下時;ある程度拡大する
エキゾチック通貨ペア USDZAR、USDTRY 平常時:最も広い
流動性低下時;かなり拡大する

※「流動性低下時」:主に早朝や経済ニュース発表前後

特に注意が必要なのは、マイナー通貨ペアやエキゾチック通貨ペアです。

スプレッドが広い際に取引していると、ポジションをとった直後に強制ロスカットされたり、想定外の損失を被ったりすることがあります。

したがって、長期スパンでの取引をする場合には、スプレッドが拡大しても大丈夫なように、ポジションサイズを調整する必要があります。

時間帯とスプレッド

同じ通貨ペアでもスプレッドは常に変動しています。

FX取引は平日24時間いつでも行う必要がありますが、時間帯ごとのスプレッドの特徴も抑えておく必要があります。

名称

GMT+9(日本時間)

スプレッドの特徴

オセアニア時間

早朝:6時~8時

スプレッドが急拡大し、不安定。

東京時間

日中:9時~15時

スプレッドが収束し、安定する。

欧州時間

夕方~深夜:

16時~22時

NY時間

夜~明朝:

22時~5時

※上記の時間区分はあくまで目安であり、サマータイムを考慮していません。

特に要注意なのが、マイナー通貨ペアとエキゾチック通貨ペアです。

メジャー通貨ペアはオセアニア時間でもスプレッド拡大は小規模なことがありますが、そうではない通貨ペアは一瞬スプレッドが20pipや30pips(またはそれ以上)になることもあり、たったそれだけで強制ロスカットが執行されることもあります。

経済ニュースとスプレッド

経済ニュースは大きく分けて「経済指標」と「要人発言」の2種類があります。

両者の違いは、「経済指標」は決まった日時に数値が発表されるのに対して、「要人発言」はある程度の時間の幅の中で中央銀行総裁などが様々なことを発現する、ということにあります。

一方で両者の共通点は、注目度の高いものであればあるほど発表の瞬間や発言の時間帯はスプレッドが拡大するということです。

特に、USD(米ドル)に関する経済ニュースは、ドルストレート以外のすべての通貨ペアのスプレッドに影響を与えることもあります。

とりわけ、下のキャプチャ画像にある「非農業部門雇用者数」などの発表(通称「米国雇用統計」)は、毎月第1金曜日にあるため、その日にトレードを行う場合には、神経質になる必要があります。

※XM Trading公式ウェブサイトより

不意なスプレッド拡大で損失を被らないためにも、経済ニュースのスケジュールについては事前に調べておくことが大切です。

経済ニュースのスケジュールは、ブローカーの公式ウェブサイトや、Investing.comのような経済ニュース専門サイトなどから確認することができます。

ブローカータイプ別スプレッド比較

ブローカー選びの半分くらいは、スプレッドとその安定性の検証だといってもよいくらい、スプレッドはブローカーによって大きく異なります。

但し、スプレッドが広いブローカーはその代わりに入金ボーナスなどのプロモーションを提供していることもあります。

他方で、スプレッドが狭いブローカーはプロモーションがないこともあります。

一概にスプレッドの狭さ=ブローカーの優秀さと言い切ることはできませんが、重要な情報になりますので、筆者が調査したブローカーのスプレッドをここでまとめて紹介します。

スプレッド特化型ブローカー

スプレッド特化型ブローカーとして有名なのは、TitanFXとTrade Viewです。

但し、最も取引コストの安いECN口座はスプレッドに加えて取引手数料が徴収されます。

したがって、取引手数料をpips換算した実質スプレッドも掲載しています。

分類

通貨ペア

TitanFX

Trade View

メジャー通貨ペア

USDJPY

0.2pips

(0.9pips)

0.3pips

(0.8pips)

EURUSD

0.2pips

(0.9pips)

0.2pips

(0.7pips)

EURJPY

0.3pips

(1.0pip)

0.5pips

(1.0pip)

マイナー通貨ペア

(クロス円)

GBPJPY

1.5pips

(2.2pips)

0.8pips

(1.3pips)

AUDJPY

0.5pips

(1.2pips)

0.7pips

(1.2pips)

上表を一覧すればわかる通り、スプレッド加味した実質スプレッド(カッコ内)は、国内FXブローカーの水準にかなり近づいています。

国内FXブローカーのスプレッド

国内FXブローカーのスプレッドは、一般的に海外FXブローカーよりも狭いです。

例えば最も日本人顧客になじみのあるUSDJPYは、ブローカーによっては0.2pips~0.3pipsであり、しかも取引手数料は無料であることがほとんどです。

しかし、国内FXブローカーのほとんどと海外FXブローカーとでは注文の執行方式が、DD方式かNDD方式かという決定的な違いがあります。 国内FXブローカーの採用するDD方式では、スキャルピングトレードが禁止されていたり、スリッページが大きかったりするなどスプレッドの狭さを活用しきれない取引条件となっていることが多いです。

ボーナス提供ブローカー

入金ボーナスを提供しているXMやHotForexは、その代わりスプレッドがやや広くなっています。

※スプレッドが狭いECN口座も提供されていますが、この口座はボーナス対象外です。

また、これらのブローカーの取引口座では取引手数料は無料であることが多いです。

分類

通貨ペア

XM

HotForex

メジャー通貨ペア

USDJPY

1.6pips

1.7pips

EURUSD

1.6pips

1.1pips

EURJPY

2.6pips

1.5pips

マイナー通貨ペア

(クロス円)

GBPJPY

4.0pips

3.5pips

AUDJPY

3.3pips

2.3pips

スプレッドに特化していないブローカーは、特にマイナー通貨ペアやエキゾチック通貨ペアのスプレッドが広いです。 一方でメジャー通貨ペアのスプレッドの差は、スプレッド特化型ブローカーとそこまで決定的な差ではないため、豊富なボーナスを活用して大きなLotで取引ができるという独自の意味があります。

スプレッドの確認・統計方法

スプレッドを確認する最も良い方法はデモ口座を開設するなどして、実際に自分自身で確認し、またトレードを実践することを通じて調査することです。

また、ブローカーの公式ウェブサイトではスプレッドが公表されていることもあります。

※XM Trading公式ウェブサイトより

さらに、独自インジケーターを利用して24時間スプレッドを監視するという方法もあります。

スプレッド計測が可能なインジケーター(一例)

  • Spread Logger、Spread Logger Analyzer
  • 320_SpreadList
  • JP_Spread_Monitor

実際にブローカーが公表しているスプレッド情報と、実際の測定結果とを比較することでそのブローカーの信頼性が見えてくることもあります。

トレードの事前準備としてスプレッドの調査・研究はマストだといえます。

総括

スプレッドは、FX取引で利益を出すために最も重要な知識だといえます。

しかし、実際スプレッドがどういう性質のものであるかは説明を読むだけでは、なかなかわからないことも多いです。

実際に、デモ口座やリアル口座などでスプレッドが取引に与える影響を考察することは優秀なトレーダーになるために、必ず行わなければならないステップです。