FXの税金

FX取引で年間を通じて利益を出すことができれば、確定申告をして納税します。

以下で解説する項目は大きく分けて「税制」と「確定申告手続き」の2つです。

すなわち、FXで収益を目指すトレーダーとして、

  • どのくらいの利益を出したらどれくらいの税金がかかるのか
  • 実際の税の申告はどのように行うのか

ということを押さえておかなくてはならないということです。

本記事に関するご注意

本記事は2019年10月25日執筆時点において、収集可能な情報に基づいて執筆しているため、閲覧時点での最新の情報と異なる可能性があります。

また、FX口座は個人口座と法人口座とがありますが、本記事は個人口座での取引損益を想定して執筆しています。

法人の場合には異なる税制となりますので、要注意です。 ※正確で個別的な情報を必要とされている方は、必ず最寄りの税務署に相談するか、税理士などの専門家に相談し、または確定申告を代行してもらうことを推奨します。

FXに関する税法規制

日本の金融庁の金融ライセンスを持つ国内FXブローカーで取引した場合と、そうではない海外FXブローカーで取引した場合とでは、税法規制や税率が異なります。

また、他の所得区分と同様に必要経費を申告することで、課税所得金額を減らして節税することもできます。

国内FXの税法規制

国内FXには、次の2種類の税金がかかります。

  • 所得税(及び復興特別所得税
  • 住民税(都道府県民税、市区町村民税)

日本国内の金融ライセンスを保有するFXブローカーの収益は、「先物取引にかかる雑所得等」として、金額にかかわらず一律、所得税15%がかかります。

※平成25年(2013年)から令和19年(2037年)までは復興特別所得税として一律0.315%が加算されます。

「先物取引にかかる雑所得等」は申告分離課税であり、他の給与所得や事業所得、総合課税の雑所得の金額にかかわらず税率は一律です。

そして、所得税の申告内容に基づいて住民税(都道府県民税及び市区町村民税)が課税されますが、こちらも金額にかかわらず一律の5%がかかります。

つまり、国内FXの税率は以下のとおりです。

所得税(15%+0.315%)+住民税(5%)=20.315%

複数の国内FXブローカーでFXやBO取引をしている場合の損益通算

複数の国内FXブローカーで取引をし、あるブローカーでは利益が出て、別のブローカーでは損失になったという場合には、損益通算をすることが可能です。

また、国内の金融ライセンスを有するブローカーでのFX取引とBO(バイナリーオプション)取引は、同じ税区分であるため、損益通算をすることが可能です。

例)

  • 国内ブローカーAでFX取引:年間収支80万円
  • 国内ブローカーBでFX取引:年間収支-25万円
  • 国内ブローカーCでBO取引:年間収支-20万円

→すべて通算可能 計算式:80万円+(-25万円)+(-20万円)=35万円が当該年の収支

参照:国税庁ホームページ No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係 URL: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1521.htm

海外FXの税法規制

海外FXには、次の2種類の税金がかかります。

  • 所得税(及び復興特別所得税
  • 住民税(都道府県民税、市区町村民税)

日本国内の金融ライセンスを有しない海外FXブローカーによって得た収益は、「総合課税の雑所得」という税区分になります。

総合課税の雑所得に区分されるもの(一例)

  • 海外FXの損益
  • 海外BO(バイナリーオプション)の損益
  • 仮想通貨取引での損益
  • 原稿料(クラウドソーシングサイトでの報酬も含まれる)
  • アフィリエイトビジネスでの損益 ・転売ビジネスでの損益

こちらに区分される所得は、累進課税です。

つまり、所得税率は5%~45%までの範囲で課税所得金額が上がれば上がるほど税率は上がります。

※また、他の所得(給与所得や事業所得など)がある場合には、それらに対する税率も影響を受けます。

※「5%~45%」というのは復興特別所得税を加味していません。復興特別所得税の金額は、国内FXブローカーと異なり、一概には言えず計算によって求めます。計算式は、当該年の基準所得税額の2.1%です。

さらに、所得税とは別に住民税(都道府県民税&市区町村民税)が徴収されます。

住民税率は、一律10%です。

以上のことを総合して、海外FXブローカーの税率を表にすると、以下のとおりです。

課税所得金額

所得税率

住民税率

合計

~195万円

5%

10%

15%

195万円~330万円

10%

20%

330万円~695万円

20%

30%

695万円~900万円

23%

33%

900万円~1,8000万円

33%

43%

1,800万円~4,000万円

40%

50%

4,000万円~

45%

55%

※上表は、復興特別所得税を考慮していません。

なお、繰り返しになりますが海外FX以外の所得もすべて(分離課税のものを除いて)合計したのが、「課税所得金額」です。

つまり、サラリーマンや公務員(給与所得者)や自営業・フリーランス(事業所得者)の場合は、海外FX等の収益(雑所得)があると本業の税率も上がりますので要注意です。

損失通算について

同じ雑所得間であれば、損益通算をすることが可能です。

但し、給与所得や事業所得との間では損益通算はできません。

例)

  • 会社員で500万円の課税所得(給与所得)
  • 海外FXブローカーAで+50万円の利益(雑所得)
  • 海外FXブローカーBで-20万円の損失(雑所得)
  • 仮想通貨取引で-10万円の損失(雑所得)
  • ウェブライターの原稿料で+20万円の利益(雑所得)

→「給与所得」とは通算できないが、その他の「雑所得」とは通算可能

計算式:

(+50万円)+(-20万円)+(-10万円)+(+20万円)=40万円の雑所得 (500万円の給与所得)+(40万円の雑所得)=540万円の年間所得金額

必要経費について

必要経費とは「その収入を得るのに要した費用」のことです。

FX取引の場合も、「FX取引で利益を得るために費用を要した」のであれば、これを必要経費として申告することで、所得額を減らすことができます。

これは、国内FX・海外FX問わず利用できる節税の制度です。

FX取引で経費となりうるもの

  • 取引手数料、口座維持手数料
  • PCやモニターなどのインフラ投資
  • FXメルマガ、取引シグナルや取引ソフト、VPなどのサービス利用料
  • 会場セミナーへの旅費や参加費 ・FX取引に使用した電気代

なお、経費を申告する場合にはその出費をしたことがわかるものが必要です。

正式な領収証である必要はありませんが、レシートなどは保存しておくべきです。

※保存期間は7年間です。

家事按分制度について

FX取引にも使用したけれども、その他の用途にも使用した出費については「家事按分比率」を定める必要があります。

例えば、FX取引用にPCを購入したけれども、そのほかに原稿執筆や娯楽などの用途でも使用する場合には、「どの割合でFXに使用するのか」を決めます。

そして、経費として申告できる金額は、

(支払総額)×(家事按分比率)となります。

例)15万円のPCを30%の比率でFX取引に使用するため購入 →15万円のうち30%を経費として申告します(減価償却の項目も参照)。

減価償却制度について

高額なPCを購入したなど、特定の条件を満たす品目は「減価償却」という制度が適用され、指定された期間内で少しずつ経費として申告する必要があります。

詳細は、国税庁ホームページをご覧ください。 参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

FXの税法規制小括

ここで生じる疑問は「国内FX」と「海外FX」との税法規制の比較だと思います。

したがって、表にまとめました。

 

国内FX

海外FX

所得税率

15.315%

5%~45%

(復興特別所得税が加算)

住民税率

5%

10%

合計税率

20.315%

15%~55%

(復興特別所得税が加算)

損益通算

国内FX、国内BO取引内でのみ可能

総合課税の雑所得の区分内でのみ可能

損失繰越

3年間可能

不可能

必要経費の申告

可能

また、合計税率についてはグラフで視覚化したほうが明らかに比較は簡単です。

以下に、国内FXの合計税率と海外FX(他の総合課税項目との合算)の合計税率とを比較したグラフを掲載します。

※復興特別所得税は考慮していません。

分岐点は本業での所得次第

上グラフでは300万円が税率の分岐点となっていますが、特に海外FXの場合にはほかに給与所得や事業所得がない場合を前提としたものです。 つまり、本業でそれなり以上に所得があるのであれば、海外FXの税制上の優位はさらに失われます。

FX損益の確定申告手続き

確定申告は、原則翌年の2月16日から3月15日の間までの間で行います。

※それ以前に申告することも不可能ではありませんが、あくまで原則としては上記期間となっています。

申告にあたっては、「準備段階」と「書類作成と提出段階」とに分けて考える必要があります。

申告必要資料の準備

申告に必要な資料を準備します。

これらの書類には、確定申告時には提出する必要がないものもありますが、税務署から税務調査が来た時には確認されます。

FXの確定申告において必要となる書類の一例を示します。

必要書類(一例)

  • 取引を行ったFXブローカー全ての年間収支がわかる資料
    ※MT4を利用するブローカーの場合には地震で準備する必要がある場合があります。
  • 必要経費の支出状況がわかる資料 ・過去の確定申告書の控えで昨年、一昨年の収支がわかるもの(国内FXの場合)

税務署への申告①(書類作成)

書類を作成する方法は、「手書き」と「国税庁ホームページでの作成」の2種類があります。

手書きで作成する場合には、最寄りの税務署から書類をもらって記入します。

国税庁ホームページで作成する場合には、国税庁の専用ホームページにアクセスしてフォームに情報を入力するだけで、必要事項が自動的に計算されます。

参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm

また、雑所得の場合は必要経費のリストを自分で作成しておく必要があります。

他の税区分と異なり、形式の制限はないため「経費の名称」「年月日」「金額」「家事按分比率」などがわかるように、作成してください。

税務署への申告②(税務署への提出)

税務署への提出方法は「郵送」「税務署に持参」「e-tax」の3種類があります。

※一般的にこの順番に対応が早いです。

提出内容に間違いがないことを確認してもらいたいのであれば、提出書類は国税庁ホームページで作成して印刷し、最寄りの税務署に持参するのが最も楽です。

また、最も手軽に行うためには「マイナンバーカード」と「ICカードリーダー(市販)」を用意して、e-taxにより電子申告を行うことを推奨します。

FXの税制に関するFAQ

FXの税制に関するよくあるご質問とその回答をまとめました。
但し、筆者は本内容に責任を有するものではなく、正確で最新の情報は必ず税務署や税理士などの専門家に問い合わせてください。

年間通算で損失になった場合は確定申告の必要はあるか?または FX収益の申告義務の有無に関する損益の境界性を知りたい

次の場合は、確定申告の必要はありません。
    給与所得者で、年間の給与収入額が2,000万円以下であり、かつFXによる利益が20万円以下である場合
  • 給与所得者でなく、FXで得た所得が38万円(基礎控除額)以下である場合
但し、仮に確定申告の必要はなくてもFXの確定申告をしたほうが良い場合もあります。 例えば、次のような場合です。
  • 国内FX取引で損失が出ており、来年以降も取引を続ける予定の場合は、損失繰越制度を利用できます。
  • 海外FX取引で損失が出ており、他に総合課税の雑所得収入がある場合は、雑所得の区分内で損益通算ができます。

FXの収益には源泉徴収や予定納税があるか?

国内外を問わず、FXに源泉徴収や予定納税制度はありません。 それは税法上、FXの収入は不安定な所得とみられているためです。

FXの収入を事業所得として青色申告できるか?

一部ウェブサイトでは「可能」としているところもあるようですが、これについてはすでに判例が出ており、原則として認められません。

確定申告と税務調査の違いを知りたい

税務調査とは、税務署が確定申告の内容が正しいかどうかということを、具体的に調査するものです。 いつだれに対して税務調査が行われるかはわかりませんが、確定申告者はいつ税務調査が入ったとしても、対応できるようにしておく義務があります。

自身の確定申告について直接問い合わせたい

国税庁ホームページに掲載されている電話番号に電話をするか、最寄りの税務署に直接行くことで、質問を受け付けてもらえます。 参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shirabekata/9200.htm

総括

FXで年間利益を出して納税することは、FXトレーダーとしての1つの夢であり目標でもあります。

もしもFXを一つのビジネスとして成り立たせる予定であれば、ブローカーや取引、相場に関する知識に加えて、税制についても詳しくなることで、リスクを最小化し、リターンを最大化できます。